レトリック用例集

No. 68- 87


 68「夕日が中学生のように赤鉛筆でぐるぐる落書きした粗末なスカイ・ブルーの壁紙」(プルースト『失われた時を求めて』)擬人法

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 69「朝の光は、私の窓まではいのぼっている金蓮花におおわれた壁に、庭師のように、その梯子をよせかけた」(プルースト『失われた時を求めて』)擬人法

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 70「その部屋にはまだ冬のものでしかない火ざしが、火のまえに暖をとりにきていた」(プルースト『失われた時を求めて』)擬人法

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 71「二、三匹の雀蜂が日中に飛びまわって植物採集をしていた」(プルースト『失われた時を求めて』)擬人法

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 72「昼食の後、太陽は、土曜日と知ってか、空の高いところを一時間だけ多くぶらついていた」(プルースト『失われた時を求めて』)擬人法

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 73「古い思い出が、東京の友人宅での冗談話に誘発され、帰りの電車の中で私をちくりと刺したのだった」(尾崎一雄『まぼろしの記』)隠喩、擬人法

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 74「アハハハハ」と、老人は大きな腹をせり出して笑った。ランプのかさがびっくりするくらいな声である」(夏目漱石『虞美人草』)直喩、擬人法

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 75「老人は山の老樹のように、あるいは苔むした岩のように、この景色の前にただそこに置かれてあるのだ」(志賀直哉『暗夜行路』)直喩・擬物法

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 76「そんなに格調とやらが欲しいのなら自由にお持ち帰りくださいと言えるぐらい、この作品は格調だらけなのである」(井上ひさし『私家版日本語文法』)擬物法

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 77「窓かげには光の失せた一月の太陽が、電線のくもの巣にひっかかって、蠅のようにもだえている」(ヴィクトル・ヤセンスキー『無関心な人々の共謀』)擬物法

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 78「そのあたりは夏になると一本のはしばみの木の青葉におおわれ、その陰にむぎわら帽子をかぶったひとりの釣師がいつもはやくから根を生やしていた」(プルースト『失われた時を求めて』)擬物法

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 79「羽で飛んでゆくあらゆる種のうちで、もっとも丈夫な羽がついていて、さやがはじけた場所からそれだけ遠く隔たったところへと散布されることが可能な種は、何といっても冗談である」(プルースト『失われた時を求めて』)

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 80「わがはいはこの際限なき談話を中途で聞き捨てて、ふとんをすべり落ちて縁側から飛び降りたとき、八万八千八百八十本の毛髪を一度に立てて身震いをした」(夏目漱石『吾輩は猫である』)誇張法

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 81「彼女[お常]はまったく変化していた。どこから見ても、いなか育ちのおばあさんであった。多少誇張していえば、かごに入れた麦焦がしを背中へしょって近在から出てくるおばあさんであった」(夏目漱石『道草』)誇張法

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 82「足の先が切れそうである。ひざから腰までが血が通って、凍りついている。腹は水でも詰めたようである。胸から上は人間らしい」(夏目漱石『坑夫』)誇張法・逆説

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 83「[庭師の娘は]包囲陣からとびだすように出撃に移り、通の角に達した、そして百度も死線を越えたのちに、私たちのところへ、軍隊の報告を水差にはいったココ水とともにもたらした」(プルースト『失われた時を求めて』)

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 84「ふと手にした鏡で、かさかさに荒れた顔のまんなかに、エジプトのピラミッドのように巨大な鼻のうす赤い斜めの隆起を認めて、思わずたじろぐ病人」(プルースト『失われた時を求めて』)誇張法

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 85「エレベーター・ボーイの困惑は、卒中の発作にそっくりで、彼の顔面に脳溢血症の赤味をおびさせたばかりでなく、言葉つかいまで変えてしまい、にわかになれなれしくなってきた」(プルースト『失われた時を求めて』)

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 86「隣の男が、翌日行ってみると、天地さかさまにしたような乱舞の中で、パイプオルガンのようないびきをかいて彼は眠っていた」(ルイ・ペルゴー『ボタン戦争』)誇張法

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 87「ぼくが、じゃ明日から来ますと答えると支配人は総金歯をにゅっとむいて笑ったので、あたりが黄金色に目映く輝いた」(井上ひさし『モッキンポット師の後始末』)誇張法

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