1989(平成元年)年3月15日文部省告示第25号

「中学校学習指導要領」(音楽)

第5節 音 楽

第1 目 標
 表現及び鑑賞の活動を通して、音楽性を伸ばすとともに、音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育て、豊かな情操を養う。

第2 各学年の目標及び内容
【第1学年】
1 目 標
 (1)音楽表現の豊かさや美しさを感じ取らせるとともに、基礎的な表現の技能を伸ばし、創造的な表現の能力を養う。
 (2)多様な音楽に興味と関心をもたせるとともに、幅広い鑑賞の能力を養う。
 (3)音楽活動の喜びや共通の感動を体験させるとともに、進んで音楽活動をしようとする意欲を養い、音楽によって生活を明るく豊かなものにする態度を育てる。
2 内 容
 A 表 現
 (1)表現の活動を通して、次の事項を指導する。
   ア 歌詞の内容や曲想を感じ取って、表現を工夫すること。
   イ 豊かな響きをもった歌声や明確な発音に気を付けて歌うこと。
   ウ 楽器の基礎的な奏法を身に付け、美しい音色を工夫して表現すること。
   エ 声部の役割を感じ取り、全体の響きに気を付けて合唱や合奏をすること。
   オ 旋律と和音とのかかわり及び主旋律と他の旋律とのかかわりを感じ取って表現すること。
   カ フレーズによる曲のまとまりを感じ取って表現すること。
   キ 楽曲を特徴付けている楽器の諸要素の働きを感じ取り、表現を工夫すること。
   ク 短い歌詞に節づけしたり、楽器のための簡単な旋律を作って、声や楽器で表現すること。
   ケ 自由な発想による即興的な表現や創作をすること。
 (2)表現教材は、次に示すものを取り扱う。
   ア 我が国及び諸外国の民謡並びに古典から現代までの作品のうち、平易で親しみのもてるものであること。
   イ 歌唱教材は、独唱曲、輪唱曲、二部合唱曲及び三部合唱曲とすること。
   ウ 楽器教材は、独奏曲、重奏曲及び合奏曲とし、歌唱曲の助奏や伴奏も含めること。
   エ 歌唱教材として、次の共通教材を含めること。
       「赤とんぼ」        三木露風 作詞
                     山田耕筰 作曲
       「さくらさくら」(合唱)     日本古謡
       「花の街」         江間章子 作詞
                     団伊玖麿 作曲
 B 鑑 賞
 (1)鑑賞活動を通して、次の事項を指導する。
   ア 楽曲の雰囲気や曲想及び楽曲を特徴付けている諸要素の働きと曲想とのかかわりを感じ取ること。
   イ 声や楽器の音色及びその組合せによる響きと効果を感じ取ること。
   ウ 我が国の音楽及び諸外国の民族音楽における楽器の音色や奏法と歌唱表現の特徴を感じ取ること。
 (2)鑑賞教材は、次に示すものを取り扱う。
   ア 我が国及び諸外国の古典から現代までの作品、郷土の音楽及び諸外国の民族音楽とすること。
   イ 鑑賞教材として、次の共通教材を含めること。
       雅楽「越天楽」                日本古曲
       「春」(「和声と創意の試み」第1集  ビバルディ 作曲
           「四季」から)
       「魔王」              シューベルト 作曲
       「モルダウ(ブルタバ)」        スメタナ 作曲
        (連作交響詩「我が祖国」から)

【第2学年及び第3学年】
1 目 標
 (1)楽曲構成の豊かさや美しさを感じ取らせるとともに、表現の技能を伸ばし、創造的な表現の能力を高める。
 (2)音楽に対する総合的な理解を深めるとともに、幅広い鑑賞の能力を高める。
 (3)多様な音楽の学習を通して、音楽活動の喜びや共通の感動を体験させるとともに、主体的な音楽活動の仕方を身に付けさせ、音楽によって生活を明るく豊かなものにする態度を育てる。
2 内 容
 A 表 現
 (1)表現の活動を通して、次の事項を指導する。
   ア 歌詞の内容や曲想を味わい、曲にふさわしい表現を工夫すること。
   イ 豊かで美しい響きをもった歌声や明確で美しい発音の仕方を工夫して表現すること。
   ウ 楽器の特徴や音色を生かし、曲にふさわしい奏法を工夫して表現すること。
   エ 声部の役割を生かし、全体の響きに調和させて合唱や合奏をすること。
   オ 旋律と和声とのかかわり及び主旋律と他の旋律とのかかわりを生かして表現すること。
   カ 旋律の反復、変化や対照による曲の構成を生かして表現すること。
   キ 楽曲を特徴付けている音楽の諸要素の働きを理解して、表現を工夫すること。
   ク 歌詞にふさわしい旋律や楽器の特徴を生かした旋律を作り、声や楽器で表現すること。
   ケ 自由な発想による即興的な表現や創作をすること。
 (2)表現教材は、次に示すものを取り扱う。
   ア 我が国及び諸外国の民謡並びに古典から現代までの作品のうち、親しみのもてるものであること。
   イ 歌唱教材は、独唱曲、輪唱曲、二部合唱曲、三部合唱曲及び混声四部合唱曲とすること。
   ウ 器楽教材は、独奏曲、重奏曲及び合奏曲とし、歌唱曲の助奏や伴奏も含めること。
   エ 歌唱教材として、次の共通教材を含めること。
     〔第2学年〕
       「荒城の月」(合唱)      土井晩翠 作詞
                       滝廉太郎 作曲
       「夏の思い出」         江間章子 作詞
                       中田喜直 作曲
       「浜辺の歌」          林 古渓 作詞
                       成田為三 作曲
     〔第3学年〕
       「早春賦」           吉丸一昌 作詞
                       中田 章 作曲
       「花」(合唱)         武島羽衣 作詞
                       滝廉太郎 作曲
B 鑑 賞
 (1)鑑賞の活動を通して、次の事項を指導する。
   ア 楽曲全体の曲想を味わって聴くこと。
   イ 楽曲を特徴付けている諸要素の働きと曲想とのかかわりを理解して聴くこと。
   ウ 反復、変化、対照による楽曲の構成、声や楽器の音色及びその組合せによる響きと効果を理解して聴くこと。
   エ 我が国及び諸外国の音楽について、およその時代的、地域的特徴を感じ取ること。
   オ 音楽とその他の芸術とのかかわりを総合的にとらえること。
 (2)鑑賞教材は、次に示すものを取り扱う。
   ア 我が国及び諸外国の古典から現代までの作品、郷土の音楽及び諸外国の民族音楽とすること。
   イ 鑑賞教材として、次の共通教材を含めること。
     〔第2学年〕
      「アイーダ」から 第2幕 第2場    ベルディ 作曲
      交響曲 第5番 ハ短調 作品67   ベートーベン 作曲
      箏曲「六段の調」            八橋検校 作曲
     ※尺八曲「鹿の遠音」            作曲者 不詳
     ※小フーガ ト短調             バッハ 作曲
     ※「ノベンバー ステップス」 第1番   武満 徹 作曲
     〔第3学年〕
      「アランフェス協奏曲」        ロドリーゴ 作曲
      長唄「勧進帳」         四世 杵屋六三郎 作曲
       (「旅の衣は…海津の浦に着きにけり」の部分)
      「水の戯れ」               ラベル 作曲

第3 指導計画の作成と内容の取扱い
 1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 (1)第2の各学年の内容のAとB並びに内容のAにおける歌唱、器楽及び創作の指導の調和がとれるようにすること。
 (2)第2の各学年の内容のAとB並びに内容のAにおける歌唱、器楽及び創作の指導の相互の関連を図るようにすること。
 (3)第2の第2学年及び第3学年の内容については、第2学年においては音楽の仕組みを理解させることに、第3学年においては総合的に音楽をとらえさせることにそれぞれ重点を置いて扱うなど、学校や生徒の実態に応じ効果的な指導ができるよう工夫すること。
 (4)第2学年において下限の時数を超えて授業時数を定める場合には、第2の内容について補充や深化を図るため学校や生徒の実態に応じ、適切な指導を行うようにすること。
 2 第2の各学年の内容の指導については、次の事項に配慮するものとする。
 (1)変声期について気付かせるとともに、変声期の生徒に対しては、心理的な面についても配慮し、適切な声域と声量によって歌わせるようにすること。
 (2)歌唱の指導における階名唱については、移動ド唱法を原則とすること。
 (3)視唱の指導については、小学校における学習の経験の上に立ち、3年間を通じて、2♯、2♭程度までの楽譜の視唱に慣れさせるようにすること。
 (4)器楽の指導については、高音、中音及び低音の声部の均衡のとれた楽器編成を工夫して行うこと。なお、指導上の必要に応じて、弦楽器、管楽器、打楽器、鍵盤楽器、電子楽器、和楽器及び民族楽器を適宜用いること。
 (5)創作の指導については、創造的な活動を重視し、理論に偏らないようにするとともに、創作を記録する方法を工夫させたり、記譜を試みさせたりすること。
 (6)表現の指導については、リズム伴奏、リズムカノンなどのほか、身体的表現の発展としての指揮の活動も取り上げること。
 (7)表現教材には、郷土の民謡を取り上げるようにすること。
 (8)鑑賞教材のうち諸外国の民族音楽については、第1学年においては主としてアジア地域の民族音楽のうちから適切なものを選んで取り上げることとし、第2学年及び第3学年においては広く世界の民族音楽を取り上げるようにすること。
 (9)音楽の記号、用語及び諸要素などについては、表現及び鑑賞の活動を通して理解させるものとし、それぞれの指導のねらいに即し、重点的に取り扱うこと。
 3 共通教材については、次のとおり取り扱うものとする。
 (1)歌唱共通教材のうち、第1学年の「さくらさくら」、第2学年の「荒城の月」及び第3学年の「花」については、平易で親しみやすい合唱の形態で指導すること。
 (2)第2学年における共通教材については、次の区分により取り扱うものとする。
  ア 下限の授業時数の場合には、歌唱共通教材は学校の実態を考慮して3曲のうち2曲を、鑑賞共通教材は前半の3曲をそれぞれ取り上げること。
  イ 下限の授業時数を超える場合には、学校の実態を考慮して、歌唱共通教材は3曲のうち2〜3曲を、鑑賞共通教材は前半の3曲に加えて後半の※印を付した3曲のうち1〜2曲をそれぞれ取り上げること。

 4 第2学年及び第3学年における選択教科としての「音楽」については、生徒の特性等に応じ多様な学習活動が展開できるよう、第2の内容について、表現及び鑑賞の能力を高める学習、総合的な学習、課題学習、創造的な表現活動などの学習活動を各学校において適切に工夫して取り扱うものとする。


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