1969(昭和44)年4月14日文部省告示第199号

「中学校学習指導要領」(理科)

第4節 理 科

第1 目 標
 自然の事物・現象への関心を高め、それを科学的に探求させることによって、科学的に考察し処理する能力と態度を養うとともに、自然と人間生活との関係を認識させる。
このため、
1 自然の事物・現象の中に問題を見いだし、それを探求する過程を通して科学の方法を習得させ、創造的な能力を育てる。
 2 基本的な科学概念を理解させ、自然のしくみや、はたらきを総合的・統一的に考察する能力を養う。
 3 自然の事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養い、科学的な自然観を育てる。

第2 各分野の目標および内容
 第1分野
1 目 標
  (1)物質に関する事物・現象の中に問題を見いだし、観察や実験を通して情報を集め、推論し、仮説をたて、検証を行なって、法則性を発見したり、自然現象を解釈したりする方法を習得させる。
  (2)物質は、その特性から純物質と混合物、元素と化合物などに分けられること、および質量が保存されることを理解させ、物質についての巨視的な立場での見方や考え方を養う。
  (3)物質は、原子、分子イオンからなりたっていること、および粒子的なモデルがいろいろな現象の考察に役だつことを理解させ、物質についての微視的な立場での見方や考え方を養う。
  (4)自然現象にはエネルギーの変化が伴うこと、およびエネルギーが保存されることを理解させ、自然現象についてのエネルギー的な見方や考え方を養う。
2 内 容
 (1) 物質の特性
   物質のいろいろな量を測定させ、物質の量と重さ(質量)の重要性および密度、融点、沸点、溶解性などが物質の特性であることを理解させる。
  ア 物質の量
  (ア)長さ、体積、重さなどは、それらの量を基準の量と比較した数値と単位とで表されること。
  (イ)測定には、誤差が伴うこと。
  (ウ)物質を混合するときや融解するとき、体積は変化しても重さは保存されること。
  イ 密度
  (ア)均質な物質では、重さと体積とは比例すること。
  (イ)密度は、単位体積の重さで表されること。
  (ウ)密度は物質の種類によって決まっていること。
  ウ 融点と沸点
  (ア)純粋な物質の融点や沸点は、物質の種類によって決まっていること。
  (イ)混合物の融点や沸点は、純粋な物質の融点や沸点とは異なること。
  エ 溶解性
  (ア)溶媒と溶質の種類によって、溶ける量に違いがあること。
  (イ)濃度は、重量パーセントなどで表されること。
  (ウ)水に対する物質の溶解度は、その種類によって決まっていること。
  (エ)溶解度は、温度によっても変わること。
  (オ)溶液から結晶をつくることができ、その形は、物質の種類によって違いがあること。
(2)気体の識別と物質の分離
おもな気体を識別する方法、および物質の特性を利用して混合物から特定の物質を分離する方法を考察させる。
  ア 気体の識別
  (ア)おもな気体について、それらが科学的な性質の違いによって識別できること。
  (イ)気体の密度は、その種類によって違いがあること。
  (ウ)気体の水に対する溶解性は、その種類によって違いがあること。
  イ 物質の分離
  (ア)溶媒を用いて、物質を分離することができること。
  (イ)沸点の違いや再結晶を利用して、溶液中の物質を分離することができること。
  (ウ)クロマトグラフィーなどによって、物質が分離されること。
  (エ)空気などの混合気体から、特定の気体が分離されること。
 (3)力とエネルギー
   力と熱の基本的な性質を理解させ、エネルギーがいろいろなすがたに移り変わることについての初歩的な見方を養う。
  ア 力
  (ア)物体を押したり引いたりするとき、その物体からも力を受けること。
  (イ)帯電体どうし、および磁石どうしは、空間を隔てて互いに力を作用し合うこと。
  (ウ)重力は、地球が地球上の物体に作用する力であること。
  (エ)力の大きさは、重力の大きさなどを基準にして表されること。
  イ 力のつりあい
  (ア)力は、矢印の長さと方向とによって図示できること。
  (イ)1点にはたらく2力がつりあうには、条件が必要であること。
  (ウ)1点にはたらく3力がつりあうには、条件が必要であること。
  (エ)力は、合成することや分解することができること。
  ウ 圧力
  (ア)圧力は、単位面積あたりの力の大きさで表されること。
  (イ)閉じこめられた液体や気体の一部に加えられた圧力は、各部分に等しい強さで 伝わること。
  (ウ)気体の圧力は、体積と温度とに関係があること。
  エ 仕事とエネルギー
  (ア)仕事は、力の大きさと力の方向に動いた距離との積で表されること。
  (イ)つる巻きばねなどを引き伸ばすには、仕事をしなけれ ばならないこと。
  (ウ)摩擦力に抗して物体を動かすには、仕事をしなければ ならないこと。
  (エ)てこ、滑車、斜面などを用いても与えた仕事以上の仕事 をさせることはできないこと。
  (オ)仕事率は、単位時間にする仕事で表されること。
  (カ)エネルギーは、外部に対してすることのできる仕事で測られること。
  オ 熱とエネルギー
  (ア)温度の違うものを接しておくと、それらの温度は等しくなり、そのときの温度変化は、熱の移動によって起こること。
  (イ)物の温度変化は、加えた熱量、物質の量およびその種類に関係があること。
  (ウ)熱によって仕事をさせることができ、また仕事をすることによって熱を発生させることができること。
  (エ)エネルギーは、いろいろなすがたに移り変わること。
 (4)光とレンズ
  面の照度の変化および凸レンズによる像のでき方について理解させ、光のエネルギーについての見方を養う。
  ア 光のエネルギー
  (ア)光によって、仕事をさせることができること。
  (イ)面の照度は、光源の強さと光源からの距離とに関係すること。
  (ウ)高温度の 物体は光を出し、温度によって光の色が変わること。
  (エ)光には、可視光線、赤外線および紫外線があること。
  イ 凸レンズ
  (ア)凸レンズによって、物体の実像や虚像ができること。
  (イ)凸レンズでできる実像の位置と大きさは、物体とレンズとの距離およびレンズの焦点距離に関係があること。
  (ウ)像の明るさは、レンズの口径、焦点距離 などによって変わること。
 (5)物質の三態
  物質についての連続的な見方と粒子的な見方とを比較検討させ、粒子モデルによって、物質の状態変化などの熱的性質を考察させる。
  ア 物質の粒子モデル
  (ア)結晶の形の特徴や物質の三態の違いなどから、物質の粒子モデルが考えられること。
  (イ)液体や気体に見られる拡散やブラウン運動などから、液体や気体の粒子は運動していることが考えられること。
  イ 気体の圧力と粒子の運動
  (ア)気体の圧力は、運動している粒子が器壁に衝突するときの力として考えられること。
  (イ)気体の温度が一定のとき、その圧力と体積との関係は、粒子の運動で説明できること。
  (ウ)気体の体積が一定のとき、その温度を上げると圧力が増すのは、粒子の運動が激しくなるためであると考えられること。
  ウ 熱と粒子の運動
  (ア)物の温度が上昇するのは、粒子の運動が激しくなることであること。
  (イ)物質の状態が変化するとき、融解熱や気化熱の出入りがあること。
  (ウ)融解熱や気化熱は、粒子の集まり方が変わるのに使われること。
 (6)物質と原子
  物質には元素と化合物とがあること、および化学変化に関係する物質の重さや体積の間には一定の関係があることを理解させ、原子や分子のモデルによって、物質のなりたちや化学変化のしくみを考察させる。
  ア 化合物と元素
  (ア)物質には、熱、電流などによって、分解される物があること。
  (イ)物質には、化合物と元素とがあり、化合物は元素に分解されるが、元素はそれ以上に分解されないこと。
  (ウ)炎色反応や輝線スペクトルによって、化合物の成分元素の一部が推定できること。
  イ 化学変化の量的関係
  (ア)化学変化の前後では、反応物質の重さの総和と生成物質の重さの総和とは等しいこと。
  (イ)水などの合成や分解において、その反応に関係する気体の体積比は一定であること
  (ウ)金属の酸化や金属酸化物の還元において、その反応に関係する物質の重さの比は一定であること。
  (エ)金が酸と反応するとき、生成する気体の体積は、その金属の重さに比例すること。属の重さに比例すること。
  (オ)化合物の成分元素の重さの比は、一定であること。
  ウ 原子と分子
  (ア)原子や分子のモデルにより、化学変化の量的関係が説明できること。
  (イ)単分子層の厚さを測ることなどにより、分子の大きさが推定できること。
  (ウ)物質の成分元素の種類と成分元素の原子数の割合は化学式で表されること。
  (エ)化学変化は、化学反応式で表されること。
  エ 化学変化とエネルギー
  (ア)化学変化には、熱の出入りが伴うこと。
  (イ)燃焼などに伴う熱量は、一般に融解熱や気化熱に比べて大きいこと。
 (7)電流
   電流回路の基本的な性質をもとにして、電流と電圧との関係および電流と電子の流れとの関係を考察させ、また電気エネルギーについての見方を養う。
  ア 電流回路
  (ア)回路の一点に流れ込む電流の強さは、そこから流れる電流の強さに等しいこと。
  (イ)回路の各部分の電圧の和は、その回路内の電流の両端の電圧に等しいこと。
  (ウ)直流は電流の強さと向きとが決まっているが、交流は電流の強さと向きとが絶えず変化していること。
イ 電流と電圧との関係
  (ア)金属を流れる電流の強さは、その両端の電圧に比例すること。
  (イ)金属の電気抵抗は、その両端の電圧を流れる電流の強さで割った値で表されること。
  (ウ)水溶液などでは、その電極間の電圧には比例しないこと。
ウ 電流と電子
  (ア)希薄な気体に電圧をかけると、放電が起こること。
  (イ)陰極線は、負の電気を帯びた粒子(電子)の流れであること。
  (ウ)二極間の整流作用は、電子の性質から説明できること。
  (エ)金属を流れる電流は、電子の流れであること。
  エ 電気エネルギー
  (ア)電流による発熱量は、電流、抵抗および時間に関係すること。
  (イ)電力は、電気エネルギーが単位時間に熱や仕事に変わる割合で表されること。
 (8)物質と電気
   イオンのモデルにより、酸・アルカリの特性および中和、沈殿反応などを考察させ、あわせて物質の構造の大要を知らせる。
  ア イオン
  (ア)電解質の水溶液は、電気エネルギーによって分解されること。
  (イ)電気分解などから、イオンのモデルが考えられること。
  (ウ)金属には、イオンになりやすいものと、なりにくいものとがあること。
  (エ)化学変化によって、電気エネルギーが得られること。
  (オ)イオンは、水溶液のほか、気体や固体にも存在すること。
  イ イオンの反応
  (ア)酸とアルカリの特性は、イオンのモデルで説明できること。
  (イ)酸とアルカリとの反応によって、水と塩の水溶液とが得られること。
  (ウ)塩は、金属と酸などとの反応からも得られること。
  (エ)イオンの反応は、イオン式によって表されること。
  (オ)電解質の水溶液の反応には、沈殿を生成するものがあること。
  (カ)イオンの沈殿反応を用いると、イオンを検出することができること。
  ウ 物質の構造
  (ア)有機化合物は、炭素原子がもとになって結合してできていること。
  (イ)放射性元素の原子は、放射線を出して、ほかの元素の原子に変わること。
  (ウ)原子は、原子核と電子とからできており、原子核は、陽子と中性子とからできていること。
 (9)電流と磁界
   電流と磁界との相互作用をエネルギーと関連ずけて考察させる。
  ア 磁界
  (ア)磁界は、磁力線で表されること。
  (イ)電流は、磁界を作ること。
  (ウ)磁界中の電流は、その磁界から力を受けること。
  (エ)電動機によって、電気エネルギーを力学的エネルギーに変えることができること。
  イ 電磁誘導
  (ア)コイルの中で磁界が変化すると、コイルに誘導電流が流れること。
  (イ)誘導電流は、磁界の変化を妨げる向きに流れ、誘導電流を流し続けるには、仕事をしなければならないこと。
  (ウ)発電機によって、力学的エネルギーを電気エネルギーに変えることができること。
 (10)運動とエネルギー
 いろいろな運動を力やエネルギーと関連づけて考察させ、あわせエネルギーの保存について理解させる。
  ア 運動の表し方
  (ア)物体の運動の表し方は、基準のとり方によって違うこと。
  (イ)等速直線運動における移動距離は、時間に比例すること。
  (ウ)単振り子などには、固有な振動数があること。
  イ 等加速度直線運動
  (ア)加速度は、単位時間内の速さの変化で表されること。
  (イ)初速度が0のとき、等加速度直線運動における速さは、時間に比例すること。
  (ウ)初速度が0のとき、等加速度直線運動における移動距離は、時間の2乗に比例すること。
  (エ)落下運動は、等加速度運動であること。
  ウ 力と運動
  (ア)物体に力が働かないときは、物体の運動の様子は変わらないこと。
  (イ)物体に力が働くときは、物体に加速度を生じ、その加速度は、加えた力の大きさと物体の質量とに関係すること。
  (ウ)同じ場所では、物体の重量 は、その質量に比例すること。
  エ エネルギーのすがたの移り変わり
  (ア)重力による位置エネルギーは、物体の置かれた高さと質量とに関係すること。
  (イ)運動エネルギーは、物体の質量と速さとに関係すること。
  (ウ)力学的エネルギーが、保存される場合があること。
  (エ)同じ振動数を持った振動物体間では、振動のエネルギーが授受されること。
  (オ)エネルギーは、いろいろなすがたに移り変わるが、閉じた系内では、その総量は保存されること。
  3  内容の取り扱い
 (1)内容の(1)から(10)までのうち、およそ(1)から(3)までを第1学年、(4)から(7)までを第2学年、(8)から(10までを第3学年で取り扱うことを標準とする。
 (2)内容の(1)の「重さ」を物質の量として質量と同じように用いる場合には、その単位としてg、kgなどを用いることとする。
アの(イ)の「誤差」では、これと関連して有効数字についても取り扱う。  ウの(イ)の「混合物の融点や沸点」では、ロウのように定まった融点がないもの、食塩水のように水とは異なった沸点になるものなどを取り扱う。
 (3)内容の(2)のうち、アの(ア)については、水素、酸素、窒素、二酸化 炭素、二酸化イオウ、アンモニアなどを取り扱い、(イ)及び(ウ)については、これらの気体のうちの2、3を取り扱う。
 (4)内容の(3)のうち、アの(エ)の「力の大きさ」の単位には、g重、kg重などを用いる。イの(エ)については、図によって求める方法によって指導し、数式で表すことは扱わない。オの(ウ)、(エ)については、実験を通して定性的に 取り扱い、エネルギーについての初歩的な理解を与える程度にとどめる。
 (5)内容の(4)のうち、イの(イ)については、実験を中心として取り扱い、レンズの公式を用いての数値計算については扱わない。
 (6)内容の(5)のイについては、気体分子運動のモデル実験装置などを用いて、定性的な説明をする程度にとどめる。
 (7)内容の(6)のウで扱う元素記号(または原子記号)、化学式及び化学反応式の種類は、内容に触れた範囲内で、必要最小限にとどめるようにする。  (8)内容の(7)のエについては、電力量にもふれ、その単位がwh,kwh(またはW時、kW時)などであることも取り扱う。
 (9)内容の(8)のうち、イの(オ)については、塩化銀、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどのイオン沈殿反応を取り扱う。イの(カ)については、塩素イオン、硫酸イオン、カルシウムイオンなどのイオンの検出を取り扱う。ウの(ア)については、炭素と水素及び炭素と水素と酸素とから出来ている簡単な化合物を取り扱う程度にとどめる。
 (10)内容の(9)については、実験を通して定性的に取り扱う程度にとどめる。
 (11)内容の(10)のエの(エ)については、おんさの共鳴、結合した振り子の共振などを取り扱う。
[第2分野]
1 目 標
 (1)生物とそれを取り巻く自然の事物・現象の中に問題を見いだし、観察や実験を通して情報を集め、推論し、仮説をたて、検証を行なって、法則性を発見したり、自然現象を解釈したりする方法を習得させる。
 (2)生物とそれらを取り巻く自然の事物・現象、およびそれらの相互の関係を動的にとらえて、それらのしくみを明らかにし、変化をエネルギーと関連づけて理解させ、自然界の総合的、統一的な見方や考え方を養う。
 (3)宇宙空間を認識させ、現在見られる自然界の事物・現象から、過去の様子を考察させて、生物とそれを取りまく自然の事物・現象を、空間や時間と関連づけてとらえる見方や考え方を養う。
 (4)生物現象の理解を深め、自然界の事物・現象のちょうをを認識させることによって、生命を尊重する態度を養い、自然お保護に対する関心を高める。
2 内 容
 (1)自然とその中の生物
生物の生活環境としての地球を概観させ、生物とそれを取りまく自然とを関連づけてみる手がかりを理解させる。
 ア 生物の生活環境としての地球
  (ア)地球には、生物の生活に適した条件が備わっていること。
  (イ)地球上に起こる変化の多くは太陽放射が主な原因になっていること。
イ 地球における変化と生物の生活
  (ア)地表における変化は、水、空気 岩石などの岩石などの物質が互いに関連して起こっていること。
  (イ)生物には様々な形状のものがあり、環境と密接な関係をもって生活していること。
 (2)生物の種類と生活
生物の主な種類について、からだのつくりと生活のしかたとが環境と関連していることを理解させ、生物を分類することによって、その種類関係を考察させ、進化の考えを得させる。また生物の体は細胞でできていることおよび生物の形質には遺伝するものがあることを理解させる。
  ア 生物の種類とその生活
   (ア)植物のからだのつくり、栄養、繁殖や成長のしかたは、環境と関係があり、種類によってそれぞれ特徴があること。
  イ 生物と細胞
   (ア)生物の体は細胞でできていること。
   (イ)細胞は分裂によってふえること。
   (ウ)生物には単細胞のものとがあり、多細胞の生物でも、はじめは1個の細胞から生じること。
   (エ)生物には、遺伝する形質があり、その形質をあらわすもとになる遺伝子は、細胞の格に含まれていること。
  ウ 生物の分類と系統
  (ア)生物は、観点の決め方によって、いろいろに分類ができること。
  (イ)生物は、いろいろな特徴を比較することによって、相互に類縁関係が考えられること。
  (ウ)生物は、類縁関係に基づいて系統的に分類され、これには進化の進化の考えが導入されること。
 (3)地球を取り巻く宇宙
   地球の運動や、太陽放射の地球に及ぼす影響について理解させ、地球を取り巻く宇宙について認識させる。
  ア 地球、月および太陽の形状と距離
  (ア)地球、月および太陽は、いずれもほぼ球状であるが、その表面の様子には、それぞれ特徴があること。
  (イ)地球の大きさは、いろいろな方法で測れること。
  (ウ) 月と太陽の視半径がおよそ等しいことは、地球から両者までの距離と両者の半径の比が関係すること。
  イ 太陽と地球の運動
  (ア)ある地点における太陽の日周運動の経路は、季節によって異なり、このため、太陽の出入りの時刻と南中の高度に違いが生じること。
  (イ)四季の星座の移り変わりなどから、地球の公転が推論できること。
  (ウ)季節の移り変わりは、太陽に対する地球の運動と地軸の傾きによって生じること。
  ウ 太陽系と太陽系外の宇宙
  (ア)恒星は、太陽と同じように自ら光を出しており、地球から恒星までの距離は、太陽までの距離に比べてきわめて大きいこと。
  (イ)惑星は、恒星と異なった特徴を持ち、太陽を中心とする一つの集まりをなしていること。
  (ウ)太陽系は、多数の恒星の集まりである銀河系に属し、銀河系は、さらに大きな宇宙に含まれていること。
  エ 太陽放射と地球
  (ア)太陽は、温度が高く、光のエネルギーなどを放出していること。
  (イ)地球上のある場所で受け取る太陽放射の量は、太陽の高度によって異なり、昼の長さによっても変わること。
(4)生活活動のエネルギーと光合成
生物は、緑色植物が合成した有機化合物をエネルギー源として生活していること理解させる。
  ア 生活活動のエネルギー
  (ア)生物は、生活活動のエネルギーを、呼吸によって得ていること。
  (イ)呼吸によって得られたエネルギーは、いろいろなすがたに変わること。
  (ウ)呼吸には、酸素を使う呼吸と、使わない呼吸のあること。
  (エ)生活活動のエネルギー源には、炭水化物、脂肪およびタンパク質などがあり、それらは有機化合物で、それぞれ特徴ある性質をもっていること。
  イ 光合成と物質交代
  (ア)緑色植物は、光のエネルギーを利用して二酸化炭素と水とから有機化合物をつくること。
  (イ)光合成には、二酸化炭素の量および温度の条件が影響を及ぼすこと。
  (ウ)光合成によってつくられた物質は、他の物質にかえられて、成長や生活活動のエネルギー源として使われたり、たくわえられたりすること。
  ウ 植物体内の物質の移動
  (ア)植物のからだには、水や養分を移動させるためのつくりが発達しているものがあること。
  (イ)蒸散作用は、水や無機養分の体内の移動などについて重要なはたらきをしていること。
 (5)動物の物質交代
  動物のからだには、細胞に必要な物質を吸収し、不用な物質を体外に排出するしくみがあり、これらのはたらきは、そのつくりと密接な関係をもっていることを理解させる。
  ア 血液とその循環
  (ア)細胞に必要な物質や不用な物質は、血液によって運ばれていること。
  (イ)からだの細胞は、体液に浸されており、体液を通して物質の移動が行われていること。
  (ウ)動物には血液を循環させるしくみをもつものがあり、からだのつくりが複雑になるにつれて、そのつくりも複雑になっていること。
  イ 消化器のつくりとはたらき
  (ア)動物は、栄養分を食物として取り入れ、消化し吸収をしていること。
  (イ)消化には、酵素が重要なはたらきをもち、そのはたらきは温度などの条件によって変わること。
  (ウ)食物の取り入れ方や消化器のつくりは、動物によって異なっていること。
  ウ 呼吸器と排出器のつくりとはたらき
  (ア)動物には、外界とガス交換をするためのつくりがあること。
  (イ)動物には、外界に不用物を排出するためのつくりがあること。
 (6)大気とその中の水の循環
  大気とその中の水の大きな循環は、おもに太陽放射のエネルギーで起こり 天気の移り変わりや各種の気象現象がそれに伴って生じることを理解させる。
  ア 地表における水の循環と太陽放射のエネルギー
  (ア)地表における水は、海洋から大気、陸地を通って、ふたたび海洋にもどり、大きく循環していること。
  (イ)水の循環には、蒸散、凝結および大気の動きが重要なはたらきをしており、おもに太陽放射のエネルギーがもとになっていること。
  イ 水の蒸散と凝結
  (ア)温度は露点で求められること。
  (イ)温度は気温とその大気中に含まれている水蒸気の量とに関係すること。
  (ウ)水の蒸発は、気温、水温、湿度および風によって変わること。
  (エ)大気がいろいろな条件で冷やされて露点以下になると、水滴や氷の粒を生じ、露、霜、霧および雲ができること。
  (オ)水の蒸発、凝結に伴ってエネルギーの出入りがあり、海洋は地球上の気温の変化に影響を与えていること。
  ウ 雲と降水
  (ア)雲にはおもに水平方向にゆっくり発達する層状の雲と、鉛直方向に急激に発達する積雲状の雲とがあること。
  (イ)降水の様子は、雲の様子、発達のしかたなどによって変わること。
  エ 大気の動きと気圧
  (ア)大気には圧力があり、その強さは、時と所によって変化すること。
  (イ)地表の不均等な暖まり方により、大小さまざまな大気の対流が生じること。
  (ウ)地表における風向や風力は、等圧線の様子などに関係があること。
  オ 天気と気圧要素との関係
  (ア)高気圧や低気圧のもとでは、一般にそれぞれ天気がよかったりわるかったりすること。
  (イ)前線では冷気と暖気とが接しており、それを境にして、気温、湿度、風および雲の様子が急に変わること。
  (ウ)天気の移り変わりは、気圧の配置の様子および高気圧、低気圧、前線の移動などから予想できること。
 (7)流水のはたらきと地層
   流水のはたらきが地表の変化に及ぼす影響を認識させ、それと関連させて地層の特徴から堆積当時の環境をこうさつさせる。
  ア 流水のはたらきと地表の変化
  (ア)地表の岩石は、温度の変化、流水などのはたらきによってこわされること。
  (イ)流水のはたらきは、流水や流量に関係があり、これによっても地形が変化すること。
  (ウ)海底における土砂の様子は、陸地からの距離、海水の動きなどに関係があること。
  イ 地層のつくりと堆積岩
  (ア)地層には、それをつくっている物質、粒度の大小、粒の配列などにさまざまな特徴があること。
  (イ)地層をつくっている岩石は、成因、産状、組織などに共通性があり、堆積岩としてまとめられていること。
  (ウ)堆積岩は、岩石をつくっている物質、それらの粒度と形、岩石の堅さなどを手がかりにして、何種類かに区別できること。
  (エ)地層の新旧や、堆積環境の変化は、地層の重なり方、構成物質、化石などから推定できること。
 (8)生物の反応
 生物には、外界の変化を受け取り、これに応じて反応するしくみがあり、そのしくみは、高等な生物ほど複雑であることを理解させる。
  ア 刺激に対する反応
  (ア)生物には、外界からの刺激に対して、走性や屈性などの反応を示すものがあること。
  (イ)動物には、目、耳、鼻などがあり、刺激を受けとめるためのつくりとはたらきとがあること。
  (ウ)神経系は、中枢と末しょうとからできており、刺激に応じた反応のなかだちをすること。
  イ 動物の運動と行動
  (ア)動物の運動には、筋肉によるものと、べん毛や 繊毛によるものなどがあること。
  (イ)筋肉による運動は、筋肉の収縮によって起こり、これに骨格が関与する場合があること。
  (ウ)動物の行動には、反射や条件反射によるものがあること。
 (9)生物と環境 
  生物は、環境の変化に応じた生活をしており、特に他の生物の生活との関連が深いことを考察させる。
  ア 生物と環境との関連
  (ア)生物の生活は、温度、水、光、養分または食物などの環境条件で変化すること。
  (イ)環境条件の中には、生物によって変化するものがあること。
  イ 生物相互の関連
  (ア)生物の集団は、同じ種類や異なった種類の間で競争や協同をしており、相互に関連があること。
  (イ)生物の集団には、季節的に移り変わるものがあること。
  (ウ)生物の集団は、環境とつりあいのとれた状態へ移り変わっていくこと。
  (エ)生物の分布は、生物相互のはたらきあいや他の環境
条件との関連によって決まること。
  (オ)生物には、みずから養分をつくることのできるものと、それを利用して生活するものとがあり、相互に関連していること。
 (10)地かくの変化と地表の歴史
 地かくは、地球内部のエネルギーによって、急激な変化や緩慢な変化を絶えずしていることを認識させ、それらの事実や地層中にみられる地質構造や化石をもとにして、地表の歴史が組み立てられることを認識させる。
  ア 火山活動とマグマの性質
  (ア)火山活動の様子から、地下にマグマの存在が考えられること。
  (イ)マグマは、地下にある高温、溶融状の物質で、冷却し、固まって火成岩をつくること。
  イ マグマの活動と火成岩の特徴
  (ア)火成岩の産状や鉱物の様子は、堆積岩と異なり、それらは、マグマの貫入の様子や、火成岩のでき方を考える手がかりになること。
  (イ)火成岩は、少数の限られた種類の鉱物からできているものが多く、それらの造岩鉱物は、形、色、割れ方などで分けられること。
  (ウ)火成岩の色や組織は、鉱物の種類や冷え方に関係があり、種類を区別する手がかりになること。
  ウ 地震
  (ア)地震の揺れには、初期微動と主要動とがあり、揺れ始めの時刻や揺れの大小は、震源からの距離や地盤によって異なること。
  (イ)地震の揺れの記録から、震源、震央および地震規模の大小が推定できること。
  (ウ)地震に伴って、地かくに断層などが生じること。
  エ 地かくの変動と地表の歴史
  (ア)水準点の変化などは、土地の変動を知る手がかりになること。
  (イ)地層に見られる断層、しゅう曲、不整合などの地質構造は、過去の地かくの変動を知る手がかりになること。
  (ウ)変成岩は、他の岩石とは違った特徴をもち、それは、過去の地かくの変動によってつくられたものであること。
  (エ)地質時代は、化石や地層の重なり方などによって区分されていること。
 (11)自然界のつりあいとその保護
  生物とそれを取り巻く自然の間には、つりあいがみられることを認識させ、自然を計画的に保護することの重要性を考察させる。
  ア 自然界のつりあい
  (ア)生物とそれを取り巻く自然の間には、ある種の つりあいが保たれていること。
  (イ)人間は、自然環境に順応したり、それをつくり変えたりして生活していること。
  イ 自然の利用と保護
  (ア)自然を開発していくためにも、また自然の変化を予測するためにも、自然を深く研究する必要があること。
  (イ)自然の開発や利用が、自然界のつりあいを変えたり、破壊したりすることがあるので、自然の保存や調整により、自然を保護することが重要であること。

3 内容の取り扱い
 (1)内容の(1)から(11)までのうち、およそ(1)から(3)までを第1学年、(4)から(7)までを第2学年、(8)から(11)までを第3学年で取り扱うことを標準とする。
 (2)内容の指導に当たっては、学校の所在する地域の生物や自然の環境を考慮して、それらを指導の中に生かすようにくふうするとともに、地域を越えた共通性や原理についての理解にまで高めるように配慮することが必要である。
 (3)内容の(1)については、地表の様子の特徴を概観し、生物との結びつきを大局的に把握させる程度に取り扱う。
 (4)内容の(2)のうち、アの(ア)の「植物」は、被子植物、裸子植物、シダ類、コケ類、ソウ類、菌類などから、それぞれ代表的なものを選んで取り扱う。アの(イ)の「動物」は、セキツイ動物、節足動物、軟体動物、原生動物などからそれぞれ代表的なものを選んで取り扱う。
(イ)の「生物」は、比較的高等な生物を取り扱い、(ウ)の進化については、事実を主として取り扱う。
 (5)内容の(3)のエの(イ)については、観測資料をグラフ化し、それを読みる程度に取り扱う。
 (6)内容の(4)のアの(ウ)の酸素を使わない呼吸は、発酵を主とし、解糖に軽くふれる程度に取り扱う。
 (7)内容の(5)については、ヒトを中心に取り扱い、動物による違いは概括的に取り扱う程度にとどめる。
 (8)内容の(6)のうち、イの(エ)の「いろいろな条件」は、まわりから冷やされることや、断熱的に膨張して冷やされることをおもに取り扱う。また、イの(オ)の凝結に伴って放出するエネルギーの例としては、台風などを取り扱うことが考えられる。エの(ウ)については、天気図から読み取り、規則性を発見する程度に取り扱う。オの(ウ)の「気圧の配置」は、夏期、冬期などに現れるごく代表的のものを取り扱う。
 (9)内容の(8)のうち、アの(イ)、(ウ)、イの(イ)、(ウ)については、ヒトを中心に取り扱う。
 (10)内容の(9)のうち、アで扱う「生物」については、この学習に適した、ごく代表的なものを取り扱う。
 (11) 内容の(10)のうち、ウの(ア)の「地震の揺れ」については、速さの異なる二つの波があることに気づかせる程度に取り扱う。エの(エ)の「化石」については、(2)のウの(ウ)との関連を考慮して取り扱う。

第3 指導計画の作成と各分野にわたる内容の取り扱い
 1 第1分野および第2分野の指導には、およそ等しい授業時数を充てるようにする。
 2 第1分野および第2分野は、それぞれ系統的、継続的に指導されるようにするため、年間を通じて平行して取り扱うことを原則とする。地域の実情などで、特に必要がある場合には、ある期間いづれかの分野だけを指導してもさしつかえないが、上記の趣旨にできるだけそうように配慮することが必要である。
 3 指導計画の作成に当たっては、次の事項に留意することが必要である。
  (1)第1分野および第2分野の内容に示した事項をそれぞれ分野ごとに組織し、各分野の目標がじゅうぶん達成されるようにすること。その場合、第1学年から第3学年までの3年間の系統性を重視するとともに各学年ごとに第1分野では物質の変化とエネルギーとの関連を、第2分野では生物とそれを取り巻く自然との関連を図り、さらに両分野の相互の関連をも考慮して、理科全体としてまとまりのあるようにすること。
  (2)自然の事物・現象にについての探究の過程を重視し、基本的な科学概念を理解させるとともに、科学の方法を具体的に習得させるように配慮すること。このため、指導計画の中に取り入れて指導する事項は基本的な事項に精通し、努めて具体的な事物・現象から導入し、しだいに基本的な科学概念の理解を高めていくことができるようにし、また、指導のねらいや指導する事項に合わせて、問題の発見、予測、観察、実験、測定、記録、分類、グラフ化、推論、モデルの形成、仮説の設定、検証などの学習を適宜組み合わせて指導ができるようにすること。その際、直観を重んじ、観察や実験と理論との結びつきをじゅうぶん図るようにし、演えき的な考え方とともに、帰納的な考え方を重視するようにすること。
 4 各分野の内容を取り扱うに当たっては、次の事項に留意する必要がある。
 (1)地域や学校の実態および生徒の能力・適性等に応じて、その程度や進度を考慮し、適切に指導すること。特に観察や実験の際には、個人別、グループ別の指導を生かして、生徒の能力差に応じるよう適切なくふうをすること。
 (2)基礎的な実験法や計量器、機械、器具などの取り扱いの技能を高めることがたいせつであるが、これらが単なる機械的操作に陥らないように指導する事項との関連を図り、測定や操作の意味を考えさせるようにすること。
 (3)必要に応じて数量的な取り扱いを行い、自然の事物・現象間の関係を定量的にとらえさせること。この場合、数学との関連を密にし、取り扱う数量や数式の意味などを、生徒にじゅうぶん理解させるように配慮すること。
 5 観察、実験、野外調査などの指導に当たっては、特に事故の防止についてじゅうぶん留意する必要がある。


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