相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンにおける質的障害、および限局した常同的で反復的な関心と活動の幅によって特徴づけらる一群の障害。
程度の差はあるが、これらの質的な異常は、あらゆる状況においてその患者個入の機能に広汎にみられる特徴である。多くの場合、幼児期から発達は異常であり、ほんのわずかな例外を除いて、この状態は生後5年以内に明らかとなる。
常にではないが通常は、ある程度の全般的認知機能障害がある。しかしこの障害は個人の精神年齢(遅滞のあるなしにかかわらず)に比較して偏った行動によって定義される。
広汎性発達障害の群全体の下位分類については、多少の見解の不一致がある。
一部の症例では障害は、いくつかの医学的な病態にともなっているか、あるいは原因となっているようで、そのうちでは乳幼児けいれん、胎児性風疹、結節性硬化症、脳リピドーシス、脆弱X染色体異常が最もふつうである。
しかしながら、この障害は合併する医学的な病態のあるなしにかかわらず、行動的特徴に基づいて診断すべきである。しかし、この病態は別にコード化しなければならない。
もし精神遅滞が存在しても、それは広汎性発達障害に普遍的な特徴ではないので、別にも分類することが重要である。
3歳以前に現れる発達の異常および/または障害の存在、そして相互的社会的関係、コミュニケーション、限局した反復的な行動の3つの領域すべてに見られる特徴的な型の機能の異常によって定義される広汎性発達障害。
この 障害は女児に比べ男児に3倍ないし4倍多く出現する。
通常、先行する明確な正常発達の時期は存在しないが、もし存在しても、それは3歳以下までである。
相互的な社会関係の質的な障害が常に存在する。これらは、他者の情緒表出に対する反応の欠如、および/または社会的文脈に応じた行動の調節の欠如によって示されるような、社会的‐情緒的な手がかりの察知の不適切さ、社会的信号の使用の拙劣さと、社会的、情緒的、およびコミュニケーション行動の統合の弱さ、そしてとくに社会的‐情緒的な相互性の欠如という形をとる。
同様に、コミュニケーションにおける質的な障害も普遍的である。これらはどのような言語カがあっても、それの社会的使用の欠如、ごっこ遊びや社会的模倣遊びの障害、言葉のやりとりのさいの同調性の乏しさや相互性の欠如、言語表現のさいの不十分な柔軟性や思考過程において創造性や想像力にかなり欠けること、他人からの言語的および非言語的な働きかけに対する情緒的な反応の欠如、コミュニケーションの調節を反映する声の抑揚や強調の変化の使用の障害、および話し言葉でのコミュニケーションにさいして、強調したり意味を補うための身振りの同様な欠如、という形をとる。
またこの状態は、狭小で反復性の常同的な行動、関心、活動によっても特徴づけられる。これらは日常機能の広い範囲にわたって、柔軟性のない型どおりなことを押しつける傾向を示す。
通常、これは、馴染んだ習慣や遊びのパターンにとどまらず、新しい活動にも当てはまる。とくに幼児期に、ふつうでない、典型的な場合は柔らかくない物体に対する特別な執着がみられることがある。
小児は、無意味な儀式によって、特殊な決まりきったやりかたに固執することがある。これらは日時、道順あるいは、時刻表などへの関心に関連した、常同的な没頭であることがあり、しばしば常同運動がみられる。
物の本質的でない要素(たとえばそのにおいや感触)に特別な関心をもつこともよくある。
個人の環境において、いつも決まっていることやその細部の変更(たとえば、家庭において飾りや家具を動かすことなど)に抵抗することがある。
これらの特異的な診断特徴に加えて、自閉症の小児が、恐れ/恐怖症、睡眠と摂食の障害、かんしゃく発作や攻撃性など一連の非特異的な問題を呈することがしばしばある。
(手首を咬むなどの)自傷はかなり一般的であり、とくに重度の精神遅滞が合併している場合にそうである。
自閉症をもった多くの人が、余暇を過ごすさい、自発性、積極性、創造性を欠き、(課題自体は十分能力の範囲内のものでも)作業時に概念を操作して作業をすることが困難である。
自閉症に特徴的な欠陥の特異的な徴候は成長するにしたがい変化するが、これらの欠陥は、社会性、コミュニケーション、興味の問題というパターンがほぽ同様のままで成人に達しても持続する。
診断がなされるためには、発達の異常は生後3年以内に存在していなければならないが、この症候群はすべての年齢群で診断しうる。
自閉症にはすべての水準のIQが随伴するが、約4分の3の症例では、著しい精神遅滞が認められる。
疾病分類学上の妥当性がまだ不明な障害であり、関心と活動の範囲が限局的で常同的反復的であるとともに、自閉症と同様のタイプの相互的な社会的関係の質的障害によって特徴づけられる。
この障害は言語あるいは認知的発達において遅延や遅滞がみられないという点で自閉症とは異なる。多くのものは全体的知能は正常であるが、著しく不器用であることがふつうである
この病態は男児に多く出現する(約8:lの剖合で男児に多い)。
少なくとも一部の症例は自閉症の軽症例である可能性が高いと考えられるが、すべてがそうであるかは不明である。
青年期から成人期へと異常が持続する傾向が強く、それは環境から大きくは影響されない個人的な特性を示しているように思われる。
精神病エピソードが成人期早期に時に出現することがある。
診断は、言語あるいは認知的発達において臨床的に明きらかな全般的な遅延がみられないことと、自閉症の場合と同様に相互的な社会関係の質的障害と行動、関心、活動の、限局的で反復的常同的なパターンとの組み合わせに基づいて行われる。
自閉症の場台と類似のコミュニケーションの問題は、あることもないこともあるが、明らかな言語遅滞が存在するときはこの診断は除外される。