近年、正常知能の自閉症やアスペルガー症候群などの高機能広汎性発達障害、学習障害、多動性障害などの軽度発達障害に対するさまざまな関心が寄せられるようになりました。
しかし、こうした軽度発達障害児者に対しては今だに十分な社会からの援助を受けることはできないという現状があります。その理由の1つは、わが国の障害者福祉制度が、身体障害と知的障害を中心としたものであり、軽度発達障害児者の多くが、身体障害や知的障害の福祉制度を利用することが難しいことによります。
特に、高機能広汎性発達障害において、社会性の障害があるにも関わらず知能が高いがために障害者としての援助がうまく受けられず就労が困難である方の相談を、特にこの数年の景気が悪いなかで、数多く受けるようになりました。経験的にも、雇用者の知識と理解があれば十分に労働者として働くことができるばかりか戦力となることができるのに、サポートを得られないがために仕事が続けられなくなることがあります。また学習障害の予後研究で転職が多いというような指摘もあります。
一方で、幼少期からの継続的な発達援助を受けてきた正常知能の軽度発達障害者のなかには、(「普通の人」として)一般企業で就労を継続している方も少なからずおられます。
ここでは、どういう人として育てていく/成長していくかという発達援助自体の方向性が問われることにもなります。現在の日本では、就学前には公的機関での障害児療育がありますが、就学とともに学校教育に場所が移り、修学期間が終わるとともに実質的なサポートの場が著しく少なくなります。担う機関も地方自治体(厚生省)から学校/教育委員会 (文部省)、障害者就労担当(労働省)と変わり、相互の連携や連絡は担当者同士の自主的なつながりで成立することはあっても、発達援助の方向性は途切れ途切れのものにならざるを得ません。
もちろん、子ども一人一人の発達援助を担うのは子どものご両親たちです。ただし、どのような方向性が子どもの「個性」から考えた場合に望ましいかは、多くの両親たちにとっては見えにくいのも事実でしょう。そうした場合に、発達援助・障害児教育・障害者就労などの専門家が、生涯にわたる発達援助についての大まかで緩やかな共通認識をもち、何らかの連携をとっていきながら発達援助に携わることが必要になると思います。
幼児期や学童期の子どもの専門家は就労において何が問題になるかは知りませんし、成人期の専門家はすでに二次的な情緒的な問題を呈した対象者に対してどこがそもそもの障害で何に一番留意したらいいかがわからない体験をします。
私どもはこの数年間、高機能広汎性発達障害の発達援助システム・自助会である「アスペの会」や同様の学習障害の会である「エルデの会」などで専門家たちと親・本人の協力関係のもとに発達援助に取り組んできました。双方の会ともに全国的にもかなり注目され、一定の成果をあげてきたと思います。参加してきた軽度発達障害児者たちが就労するようになり、関係機関との連携をさらにすすめていく必要性を感じるように至り企画しました次第です。
実際に研究会を発足する段階に際しては、
会については、障害者就労問題の専門家である岡山大学の大竹喜久氏にコーディネーターをしてもらいます。呼び掛けは、東海地域の障害者就労関係機関(障害者職業センター、障害者雇用情報センター、精神薄弱者更生相談所等)、発達援助機関(児童相談所等)、教育機関(教育センター、養護学校高等部等)、関連団体(自閉症児者親の会、学習障害児親の会等)、専門家などに送付いたします。ともかく、始めてみて、だんだんといろいろなことを考えていきたいと思います。(文責;辻井)
一応、この予定ですが、第1回ですので大竹先生を中心に、今後何をしていくかを話し合うことが中心になるかも知れません。具体的な検討希望事項などがありましたら、ご提案下さい。次回以降の日程や場所も当日話し合いたいと思います。
自閉症者の就労研究の第一人者梅永雄二先生(明星大学)においでいただき、就労についていろいろと議論したいと思います。